2012-02-10の日記コメントを書く
コンバロハ〜
帰り道、四ツ谷駅を降りて歩き出したら
かしゃん
と、ガラスか焼き物の割れたような乾いた音がした
音のした方向、斜め右前方をみると
女の人が照れくさそうに振り返り地面の荷物に手をかけようとしていた
居合わせた人は、困惑したように一瞬立ち止まり
また歩き出したようだった
紙の手提げ袋のようなものがみえたので
ああ、底が抜けて中に入れていたものが落ちて割れたんだ
と思った
そのまま通りすぎてから
なんとなく振り返ると
その女の人がしゃがんで落ちたものものを片づけようとしているようだった
歩きだした
歩き出したけれど
立ち止まり、また振り向いてみた
自分の持ち物からなにやらビニールのようなものを取り出していた
おせっかいの虫が騒ぐ
歩み寄って
さっきデパートで買った惣菜を入れてもらった、不釣り合いなほど大きな紙の手提げを
「これ使いますか?」と
手渡した
「ありがとうございます、でもいいんですか?」
「はい、私は小さい手提げを持っていますから。お手伝いできなくてすみません」
「いいえ、ありがとうございます」
その人は私の差出した紙の手提げを受け取って
また片づけ始めた
私は家路に戻った
歩きながら悲しかった
何が割れたのかはわからないけれど、もしも自分だったら
そこまで持ってきた中身が砕けてしまったことをどんなにか悔しく思うだろう
人のことを自分に置き換えて大げさに考えるのは悪い癖だと思う
手伝いをできないほど先を急いでいたわけではないけれど
手伝いをして、なにやかにやと言葉を交わすのがこわかった
自分だったらと思ったりして
涙もろさを発揮してしまいそうでこわかった
振り返らずに
まっすぐ
まっすぐ歩いて歩いて家に帰った
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